油彩の立体性
- Terumi GOTO
- 5月31日
- 読了時間: 2分

紫陽花がきれいな季節となりました。雨の日も多いですが、憂鬱な日こそ制作の機会となるかもしれません。
油彩(油絵)には、豊かな立体性があります。画像の作品は2019年ごろに下地処理を施したままアトリエに眠っていたパネルがあったので、当時「空間にある絵画」のシリーズとして作成していた抽象絵画です。
中心の、ビールのようなホワイトとオーカーのグラデーションは、ペインティングナイフによるもので、刷毛で仕上げたグラデーションとは異なって、左右に何度も往復することでなめらかな質感となっています。最近はゲルハルト・リヒターの影響で、掃除道具などのスキージーや内装道具用のゴムベラなどでフラットに絵具を滑らせる技法がSNSなどでトレンドですが、難易でも、昔ながらのペインティングナイフを用いた方法でしか表せない絵肌もあります。
油絵は、厚みがあり立体的な技法が物質的な魅力となります。例えば初期フランドル派のフラットな板絵であったとしても、支持体(板)を感じさせないボリュームのある絵具の質感は、水彩画と異なり光を反射し、より堅牢な質感をもって「色」をダイレクトに感じることができます。だから本物を鑑賞しに美術館へ行くのです。そして具象絵画、抽象絵画を問わず油絵具の質感には「色の強度」があり、その強度を確かめに美術鑑賞に行くのではないでしょうか。彫刻にも同様の性質があり、色や素材など物質的な性質が美術には恒久的であると言えます。
現代美術も際限なくジャンルやテーマを超えて拡張しつづけていますが、人々が美術を愛する理由には、当たり前かもしれないけれどそのような物質を重んじる感覚がありそうです。
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